看護師として働いている中で、手術のサポートに入った経験がある看護師さんもいるかもしれません。看護師として、手術にもっと深くかかわることは出来ないだろうか、そのような思いを持っている人も多いと思います。そこで今回は、看護師のキャリアアップとして、「周術期管理チーム看護師」を紹介します。
手術前後の、周術期と言われる期間の医療行為には、医師の指示によって看護師が働くということでダブルチェックが働いていて、安全を確保しているのですが、麻酔管理については麻酔科医の医師一人の判断で行われているので、ダブルチェックが働いていません。そこで、麻酔科医の行う麻酔管理について、充分に理解できる医療スタッフの存在が必要となります。それが周術期管理チームであり、その看護師が周術期管理チーム看護師なのです。
知っていますか?周術期管理チーム看護師までの道のり
周術期管理チーム看護師のイメージをつかんだところで、次はどのようにして資格を取得すればよいのか、流れを整理していきましょう。
- 受験資格の確認
- 日本国の看護師免許を有すること
- 看護師免許を取得後、麻酔科標榜医が年間200例以上の麻酔管理を提供している施設での手術室勤務が満2年間であること。
- 申請する年の3年前の4月1日から申請する年の3月31日までの間に、日本麻酔科学会主催、または共催する周術期管理チームセミナーに2回以上の参加実績があること。
- 申請する年の3年前の4月1日から申請する年の3月31日までに日本手術看護学会が主催する年次大会、あるいは麻酔看護研修に2回以上参加実績があること。
の要件が受験資格となるので、事前に確認しておきましょう。
- 受験申請を行う
上記の要件を満たしていたら、ホームぺージの方から申請書類をダウンロードして送りましょう。
- 審査、試験を受ける
送った書類についての審査と、筆記試験を受けます。
- 合格通知、登録手続き
試験に合格していたら、自宅に合格通知が届きます。登録手続き書類も届くので登録料の支払いなどを行います。
- 認定証の受領
3月頃に認定証が届き、周術期管理チーム看護師として認められます。
以上が、周術期管理チーム看護師になるための流れとなります。
費用や時間、試験の内容は?
では、おおまかな流れをつかんが所で、資格取得までに必要となる費用や時間、試験の内容について説明していきたいと思います。
まず、費用ですが、受験料1万円、登録料2万円が必ず必要になりますので、最低でも三万円は必要となります。しかし、受験の会場が東京と兵庫の2会場であったりと、地方で働いている人は、交通費や宿泊費なども必要となるので、雑費などもすべて合わせると大体10万円近くは必要になると考えられます。
次に、必要な時間ですが、受験資格に申請する3年前の4月1日から申請する年の3月31日までに日本麻酔科学会が主催する周術期管理チームセミナーに参加することなどがあるので、申請の前年で受験資格を取得したとしても、受験の年と合わせて2年間は最低でも必要になると考えられます。
次に試験の内容ですが、試験は毎年1回、11月の上旬から中旬にかけて、東京と神戸の2会場で行われます。出題は、「周術期管理チームテキスト第3版」からになるので、必ず手に入れるようにしましょう。
周術期管理チーム看護師のメリットって?
看護師からのキャリアアップとして周術期管理チーム看護師を紹介してきましたが、では、その資格取得のメリットはどのようなものなのでしょうか。
正直にいうと、給料の面では、アップしたというデータがなく、資格取得による好待遇は望めないかもしれません。
そこで、周術期管理チーム看護師のメリットとして強調したいのは、周術期医療において患者との懸け橋になることが出来るという点です。
手術というと患者さんは、不安に思うものです。医師と接する際にも、どこか緊張してしまう…そんな時に周術期管理チーム看護師のかたが、「大丈夫ですよ」と声をかけてくれると安心するというひとが多いのです。
また、冒頭でも触れた、麻酔科医の麻酔管理について、ダブルチェックを働かせることが出来るというのも周術期管理チーム看護師の仕事として重要です。
現代の医療において重要視されるコメディカルとの連携という点において、一歩遅れていた周術期管理において重要な役割を果たすことが出来るというのが1番のメリットだと思います。
看護師の業界用語 解説
意識レベル…意識の覚醒状態の程度
意識レベルと言われたら、意識の覚醒の程度と思ってください。呼びかけに反応出来る程度の覚醒、自分で目を開くことが出来る覚醒など、可能な動作に応じて、JCS(Japan Coma Scale)やGCS(Global Coma Scale)によってレベル分類されます。