看護師がキャリアアップする為の資格を取ろう。 23抗酸菌症エキスパート

現代医療において、結核は以前と比べると、感染対策の向上によってかなり死亡者を減らしてきた病気のひとつですが、現在、日本では年間2000人以上もの人が命を落としている重要な疾患のひとつだということを知っていましたか?

この問題に看護師として出来ることはないだろうか…そう考える人のために、「抗酸菌症エキスパート」について紹介したいと思います。抗酸菌症エキスパートは結核を含む、抗酸菌症に対する専門知識、臨床技術をもった、看護師・保健師としてチーム医療のを支える役割を担っています。

具体的には、最新の結核・抗酸菌症の疫学、病態、検査法、臨床経過などを理解し、治療法の理解と説明が出来ること。DOTSの意義を理解すること、潜在性結核感染症の概念と治療方針を理解することなどの知識が求められます。

知っていますか?抗酸菌症エキスパートまでの道のり

抗酸菌症エキスパートがどのような仕事か説明しましたが、興味は出てきたけど、資格はどうやって取るの?と考えている方も多いと思います。そこで、資格取得までのおおまかな流れを整理していきましょう。

  • 応募資格の確認

抗酸菌症エキスパートの応募資格は以下のように決められています。

  1. 看護師、准看護師、保健師、理学療法士、栄養士・管理栄養士、薬剤師、診療放射線技師、臨床検査技師、その他認定制度審議委員会が認めた資格を有する者
  2. 前項に掲げた資格の職歴が合わせて3年以上を有する者
  3. 認定審議委員会が指定したセミナー等に参加し、所定単位50点を取得した者
  • 申請書類の提出

上記の応募資格を満たしていたら、必要書類(申請書、当該職免許証のコピー、申請料の振込受領書のコピー)を準備して提出します。期限は毎年9月末日となっているので、注意しましょう。

  • 書類審査

提出書類について、認定審査が行われ、合否が決定します。

  • 登録証・認定証の交付

合格すると、登録証あるいは認定証が送られてきます。

一体どれだけの費用や時間がかかるの?

資格取得までの流れが分かったところで、どのくらいの費用や時間が必要になるのか、また認定に必要な点数を獲得するための講習会について触れていきたいと思います。

まず、必要な金額ですが登録・認定審査に5000円が必要になります。最低限必要となるのはその5000円だけですが、講習会は全国的に行われているので、交通費や宿泊費などが必要になることを考えると、2万円~5万円程度が必要になると思われます。

次に、必要となる時間ですが、約半年間が必要となります。

最後に講習会についてですが、日本全国の様々な都市で、日本呼吸器学会や、日本感染症学会との共同セミナーなどが開催されていて、ひとつ参加すると20単位が取得できます。ということは、3回講習会に参加することで、認定資格を満たすことが出来るということです。参加費は多くが無料となっています。

認定審査の合格率は90%以上となっています。ほとんどの人が認定条件を満たして申請を行っているので当然の高認定率です。しっかりと条件を満たせば資格取得が可能なので、不備がないように準備しましょう。

抗酸菌症エキスパートになったら何がいいの?

看護師からのキャリアアップとして抗酸菌症エキスパートを紹介してきましたが、ではそのメリットはなんなのでしょうか?

まず、給料に関してですが、抗酸菌症エキスパート看護師は、普通の看護師の平均年収に比べて、数十万円高いと言われています。抗酸菌症エキスパートでは、国立、私立、県立病院で働くと給与の上昇率が、民間病院よりも大きいということも知られています。

また、その他のメリットとして挙げられるのは、抗酸菌症に対しての専門知識を持つことによって、通常の病棟勤務で、結核患者と接する際だけでなく、保健師として、公衆衛生や保健指導を推進していくという際にも、レベルの高い指導を行うことが出来るようになるということが挙げられます。

結核に伴った合併症をもつ患者などが増えてきている現状、結核患者受け入れを行っている病院だけでは対応できない部分があります。そこで、抗酸菌症エキスパートは医療施設、在宅看護といった多様なフィールドで活躍が求められる資格となっています。

給与だけでなく、自身の仕事へのスキルアップという面からも魅力的な資格だと思われます。

看護師の業界用語 解説

溢乳(いつにゅう)…乳児が授乳直後に少量の乳汁を口からよだれのようにこぼしてしまう現象

赤ちゃんの胃は、大人の胃のように袋状になっておらず、筒状であるために、少しの動きや、げっぷなどによって簡単に出てきてしまうので、この溢乳が生じます。1歳程度になると、ほとんどの赤ちゃんで溢乳は見られなくなります。