このページをご覧になっている看護師の方は、きっと自身の看護師としてのキャリアについて深く考え始めた方だと思います。今とはちょっと違った看護がしてみたいな…そう考える看護師の方のために、今回は、「日本口腔ケア学会認定資格」について紹介します。
口腔ケアというと、イメージとしては歯医者さんで行われているような感じですが、実は口腔ケアが担っている医療の範囲は広く、歯のことのみならず、摂食や嚥下といった神経系の障害や、高齢者の食事サポートまで支えることが出来ます。
食事が自分で出来るか出来ないかは、患者自身のQOLを大きく左右するだけでなく、経口栄養が出来るのか他の栄養方法を試みなければならないのかの大事な境界線となります。
口周りのケアに特化した看護というのを行ったことがある人はあまりいないのではないでしょうか?これまでと変わった看護がしてみたいという方には検討してみてもらいたい資格のひとつです。
目次
日本口腔ケア学会認定資格ってどうやってとるの?
日本口腔ケア学会認定資格所得までの流れを知らなければ、何をしたらいいか全くわからないと思います。そこで一度整理しましょう。
- 認定資格申請資格を確認する
まずは、自分が取りたい日本口腔ケア学会認定資格5~1級について申請条件を満たしているか確認しましょう。
条件は日本口腔ケア学会によって以下のように定められています。
・5級
日本口腔ケア学会の会員であること。
・4級
医療系の有資格者であり、かつ日本口腔ケア学会の会員であること。
・3級
- 認定登録年度に会員歴3年以上であること。
- 口腔ケアについての実施症例30例以上の報告書を提出すること。
・2級
- 認定登録年度に会員歴5年以上であること。
- 本学会発表2回以上、論文2編以上を有すること。
- 3級の資格を有しない場合は50例の実施症例の報告書を提出すること。
・1級
- 認定登録年度に会員歴10年以上であること。
- 本学会発表5回以上、論文発表5編以上であること。
- 2級合格者であること。
- 受験申請を行う
以上の条件を満たしていたら、必要書類をそろえて、受験申請をしましょう。
必要書類は以下のものになります。
- 口腔ケア認定士申請書
- 履歴書
- 業績集
- 審査料の振替払込請求書兼受領書の写し
- 認定資格試験を受ける
5級~2級を目指す人は、認定資格試験(筆記試験)を受験する必要があります。
また、2級~1級を目指す人は口頭試問を受験する必要があります。
- 合格・認定証交付
認定資格を満たし、書類審査、筆記試験、口頭試問などに合格し、認定料を払い込むと、認定証が交付されます。
以上が、日本口腔ケア学会認定資格を取得するための流れとなります。
かかる費用や時間、試験の内容について教えて!
資格取得までの流れをつかんだら、次は、必要となる費用や時間について確認していきましょう。
まず費用ですが、学会への入会金2000円、年会費3500円、認定審査料3万円、検定料として、5級・4級は1万円、3級は2万円、2級は2万5千円、1級は3万円がかかり、登録料には2万円が必要になります。
申請書類の提出期限が毎年12月末で、認定証の交付は翌年の4月1日になるので、ちょうど3ヶ月必要となります。
次に試験に関してですが、5~3級までの認定試験は特別実施として年に数回、学術大会に合わせて行われていて、場所は全国の様々な都市になります。しかし5~3級の試験も含めて、2~1級までのすべての級の試験を行うのは年1回となり、場所は愛知大学となっています。試験内容は口腔ケアに関する問題で、2~5級は筆記試験、1~2級は口頭試問が課されます。また、2~1級では、研究発表の成果などの実績も加味されて審査が行われます。
日本口腔ケア学会認定資格を所有していたら、気になる給料はどうなるの?
看護師からのキャリアアップとして日本口腔ケア学会認定資格を紹介してきたわけですが、では、日本口腔ケア学会の資格を取得するメリットはなんなのか気になりますよね?
給料に関してですが、通常の看護師に比べて、この資格を有した状態で、口腔外科などで働くことによって、資格手当などを受けることができ、給料が上がると言えます。
また、専門性の高い口腔ケアを行うことが出来るというのは、自身のスキルアップという点からも魅力的であり、また、高齢化の進む現代において、その必要性、資格の価値はますます高まっていくことが期待できます。
看護師の業界用語 解説
インシデント…メディカルインシデントの略
メディカルインシデントとは、医療事故を生じる一歩手前の事象で、誤ったら、患者さんの生命まで脅かしていたような事象のことで、一般的に「ヒヤリ・ハット」と呼ばれるものです。