平均寿命が延び、高齢化が進む現代医療において、健康指導、予防医学の分野は非常に重要視されています。その健康指導を主な仕事としているコメディカル医療者は、実は保健師だけではありません!何か資格が欲しい…、そんな看護師の方に、今回は「健康医療コーディネーター」について紹介します。
健康医療コーディネーターは、日本健康医療学会によって、健康に関する知識の普及や生活習慣の改善など、適切な指導が出来る人材として認められた人に与えられる資格です。
主な仕事としては、保健師のように、予防医学や生活習慣病対策といった、健康指導を患者に対して提供することです。
知っていますか?健康医療コーディネーターまでの道のり
健康医療コーディネーターになるまでの流れを知らなければ、資格取得に向けてどのように動いていけばよいかわからないと思います。そこで一度整理しましょう。
- 講習会に参加する
まず、健康医療コーディネーターの資格取得のためには、日本健康医療学会が開催する、健康医療コーディネーター研修会・認定審査に参加する必要があります。
この講習会で、2日間にわたって、「三大疾患(癌・脳梗塞・心疾患)の基礎知識、生活習慣病、健康長寿、漢方医療、歯と健康、その他」についての講習を受けます。
なお、この研修会の参加人数は定員が120名と決められていて、先着順となるので、申し込みは出来るだけ早く行うようにしましょう。
- 認定審査を受ける
2日間の講習会の最後に、認定試験が行われます。
- 合否発表・認定証交付
認定試験に合格し、認定登録料を支払うと、認定証と認定バッジが交付されます。
以上が、健康医療コーディネーターになるまでのおおまかな流れとなります。
必要となるコスト、試験の内容はどんな感じ?
資格取得までのおおまかな流れをつかんだら、次は、具体的にどれ程の費用や時間が必要になるのか確認していきましょう。
まずは、必要となる費用ですが、参加必須の研修会費が18,000円(この18,000円のうち、3,000円は、審査料と昼食代になります)、認定登録料6,000円が必要となります。ただし、会場が東京になるため、別途交通費、宿泊費が必要になる人はその金額も考慮する必要があります。
次に資格取得までにかかる時間ですが、健康医療コーディネーター資格には、学会入会の必要性や、資格の有無などが関係なく、2日間の講習を受けて、認定試験に合格するだけで良いので、最短で2日間で資格取得が可能です。
最後は試験に関してですが、試験は、健康医療コーディネーター研修会に合わせて、1年に1回行われていて、場所は東京都の1ヶ所になります。試験内容は筆記試験で、四択問題が、研修会中の講習内容から出題されます。試験の合格率は明らかにされていませんが、試験受験者のほとんどが合格しているようです。
健康医療コーディネーターになるメリットは?
看護師からのキャリアアップとして健康医療コーディネーターを紹介してきたわけですが、では、健康医療コーディネーターの資格を取得するメリットはなんなのか気になりますよね?
まずは気になる給料に関してですが、実はこの資格を取得したからといって、給料がアップするとは一概には言えません。あくまで健康指導に優れた看護師という立場であって、専門の技術を取得しているわけではないので、資格手当の支給対象外になるということも少なくはないようです。
では健康医療コーディネーターのメリットは何かというと、近年、平均寿命の延長や、高齢化、生活の欧米化に伴って、高齢者の健康管理や、若年者の生活習慣病などが増えてきている中で、予防医学、健康指導、公衆衛生といった分野に秀でた医療者の必要性が高まってきていることが考えられます。今後、この社会傾向が続くことが予想されているので、健康医療コーディネーターの価値、必要性はますます高まっていくと考えられ、将来性が期待されています。
また、患者自身と接する時間が長い看護師は、患者さんから健康相談を受けやすい立場にあります。そんな時に、自身を持って最新の健康指導を行うことが出来た時の達成感や、患者さんから向けられる感謝による充足感は仕事をするうえで大切だと思います。
専門性が高くない医療分野、言い換えれば患者さん側からの敷居が高くない医療分野での専門家となることで、医療と患者さんの橋渡しをして、さらなる健康増進に努めていくことが出来るというのは、この資格ならではの魅力だと考えられます。
看護師の業界用語 解説
ウィルヒョウ転移…胃癌の左鎖骨上リンパ節への転移
胃がんのリンパ行性転移の際に胸管を経て、左鎖骨下静脈に至る過程で生じるので、左側に発生します。