患者さんを好きになってしまった

看護師が職場で出会う相手といえば、同僚、医師、出入りの業者のほかは患者とその見舞客です。その中でも接する時間が長い患者に対して、恋愛関係を持ってしまうことがあるのは仕方がないことといえます。しかし好きになるのはいいのですが、その気持ちは成就しても問題はないのでしょうか?一度冷静に考えてみましょう。

なぜ入院しているの?

たとえ看護師が患者さんの事を好きになったとしても、恋人候補として考えるかどうかは、まずその患者がなぜ入院しているのかを知らなければいけません。患者が入院している間は、たとえ好きになったとしても恋人になるわけにはいきませんよね。これはほとんどの病院で、暗黙の了解となっています。そのため恋人になるにしても退院してからということになるのですが、例えばその入院理由が骨折であれば問題はありません。しかし内臓系の病気や精神的な病気であればどうでしょうか?

内臓系の病気であれば、まず治るまでにはかなり時間がかかることがあります。退院予定が半年後であれば、それまで待っているのも難しいでしょう。また、もし治らなかったときにはどうするのか、という覚悟も必要となります。精神的な病気の場合も通院期間は長くなり、もしかしたら一生通い続けなければいけないかもしれません。ただうつ病などの場合は、恋人ができたことで性格が明るくなり、治るのが早くなるかもしれません。結婚に対して焦っているかもしれませんが、慎重に見極めるようにしましょう。

職業倫理として問題はないの?

ところで患者と恋愛関係になることは、病院としては問題ないのでしょうか?ほとんどの病院では、患者との恋愛関係に関する規定なんてものはありません。当たり前ですよね。しかし、暗黙の了解として入院中・通院中の患者と恋愛関係になることは避けることになっています。看護師はどの患者にも平等に接しなければいけないので、一人の患者にばかり構うわけにはいかないのですから、当たり前ともいえます。そのため、看護師は入院している患者に告白されたとしてもただ困ってしまうだけ、という結果になりやすいんです。ただし恋人が自分の病院に入院してくる場合などは患者との恋愛を禁止ともいえませんし、恋愛感情があったとしても表に出さなければ注意されることもないでしょう。

患者に好意をもったとしても、恋人になることができるのは患者が退院してからということになります。そのため、患者がどのくらい入院しているのかは大切なポイントです。看護の際に患者と話をして、退院後に恋人として付き合っていきたいかどうかよく考えて接していきましょう。

将来の事は考えている?

患者さんを好きになった場合、考えなければいけないのが将来の事です。その患者は、どのくらいで退院できるのでしょうか?また、元の職場に復帰できるのでしょうか?たとえば病気での入院であれば、それが年単位で入院が必要な病気であれば待っているのは大変ですし、入院期間が長い病気は後遺症や再発の恐れがあるものが多いでしょう。もし後遺症や再発が起こった時、きちんとそれを支えることができるでしょうか?

また、経済的な問題もあります。仕事の関係や自己の被害者としてけがをしたのであれば問題はないのですが、自分の都合でけがをして数か月入院、となれば解雇されても不思議はありません。そうなると、退院後の生活に関しても不安が残ります。いざとなったら自分が面倒をみる、と決意しているのであればいいのですが、何も考えていないようであれば退院後に仕事は大丈夫なのか、さりげなく確認しておいたほうがいいかもしれません。

特に結婚まで考えるようであれば、退院後の後遺症や経済状況は重要な問題です。看護師は介助が必要となる相手にとっては願ってもない相手といえますが、自分が結婚して介助したいと思うかどうかはまた別です。看護師だからって介助が好きとは限りませんからね。結婚に焦りを感じているときはついつい急いで相手を探そうとしてしまいますが、そんな時こそ将来がどうなるかという点も踏まえて、その患者と付き合うかどうかを慎重に考えましょう。

たとえ退院後であっても、患者と付き合うということはそれほど歓迎されることではないでしょう。1度や2度ならともかく、何回も同じように繰り返す様であれば病院内で悪い噂を立てられたり、上司から注意されたりする可能性があります。自分が真剣であっても、周りからどのようにみられるかということもよく考えてみましょう。たとえ禁止はされてなくても、個人の良識というものを疑われてしまうかもしれないので、きちんと結婚まで見据えたうえで相手を選んでいきましょう。

看護師専門用語

マーゲンチューブ

マーゲンというのはドイツ語で胃のことをいい、マーゲンチューブというのは鼻を通して胃の中へと挿入するチューブのことをいいます。主な材質はシリコンで、手術の前に挿入しておき、手術後に胃の内容物を排出することで胃の中を減圧する目的でつかわれます。