看護師として働いていく中で、採血や輸血などの場面を経験することが多いと思います。
しかし、採決や輸血の手技、知識に自信がない…。よく分からないけれど、教わった通りにやってみている。といった看護師さんも少なくはずです。
そこで、一歩上の看護師になるためのキャリアアップとして「学会認定・自己血輸血看護師」を紹介したいと思います。
目次
学会認定・自己血輸血看護師とは?
日本では、輸血部のない病院も多いため、同種間輸血、自己血輸血に関して教育が不十分なところがあります。
学会認定・自己血輸血看護師は、自己血輸血の採血時に細菌感染や血管迷走神経反射が生じる危険性を回避し、適切な採血を行うことが求められる資格です。
学会認定・自己血輸血看護師になる流れ
では、どのような流れでこの資格を取得すればよいのかを整理していきましょう。
認定試験受験申請を行う
まずは、認定試験受験申請をしましょう。申請の条件は下記の通り
- 臨床経験が2年以上の看護師であること。
- 日本自己血輸血学会会員あるいは日本輸血・細胞治療学会会員であること。
- 自己血輸血業務経験が1年以上あること、および、自己血輸血実施症例が通算で30床以上あること。
- 日本自己血輸血学会教育セミナーあるいは自己血輸血看護師制度協議会指定セミナーを受講し、受講証明書を保有していること。
- 試験前日の合同研修会に参加していること。
- 申請者は看護師を対象とし、准看護師は認めない
などが条件として決められています。これをクリアしたうえで、申請書類を送ります。
資格審査が行われる
申請書類のないようについて、資格審査が行われ、結果がはがきで届きます。試験の日時や、合同研修会場、筆記試験会場などが通知されます。
合同研修・筆記試験を行う。
資格審査で通知された合同研修・筆記試験を受け合格します。
施設研修を行う
筆記試験の2~3ヶ月後に、筆記試験合格者を対象に施設研修を行い、研修終了時後に認定証が交付されます。
登録
日本自己血輸血学会及び、日本輸血・細胞治療学会ホームページに登録者の施設名と氏名を登録します。以上の流れで学会認定・自己血輸血看護師として認められます。
資格取得に必要な費用や時間は?試験はどんな感じ?
流れはつかめた!でも具体的に費用や時間がどのくらい必要なのかわからないと、資格取得に向けて動くべきか迷いますよね。そこでひとつずつ紹介します。
必要な費用
受験申請費用1万円、合同研修費1万円、筆記試験受験費用1万円、施設研修費1万円、登録料1万円の計5万円が、試験受験から資格登録までで必要になります。
その他、教材費、試験時の交通費や宿泊費なども合わせると。大体10万円から20万円程度必要になります。
試験について
試験に関してですが、試験は原則として年2回、春と秋に試験を行なわれます。筆記試験はマークシート形式および小論文です。
筆記試験では60点以上が合格点と定められていて、合否判定は、筆記試験結果、施設研修時の個人面接および小テストの結果総合的に判断して決定されます。
筆記試験などの出題範囲は輸血に関する指定のカリキュラムが公表されていて、それを学ぶために指定の参考書も決まっています。公式ホームページの方に記載されているので、資格取得を目指す際には確認しておきましょう。
看護師と学会認定・自己血輸血看護師の違いって何!?
看護師からキャリアアップとして、学会認定・自己血輸血看護師になるとどのようなメリットがあるのでしょうか
学会認定・自己血輸血看護師の給料
実は収入に関してはこの資格を取得したからアップするというわけではありません。あくまで看護師という職業の枠を超えないので、給料アップの為には、この資格をとってスキルアップすることによって、職場の中で昇進していくしかないようです。
学会認定・自己血輸血看護師のメリット
輸血、採血においてプロフェッショナルとなることが出来るということでしょう。
この資格を取得するうえで身に着けた知識や手技は、普通の看護師にはできないことです。ほかの看護師より必要とされる人材になることが出来るという充足感だけでなく、出血や感染の恐れがある場面での失敗が減るという安心感などを得ることが出来て非常に仕事がやりやすくなるということでしょう。
また、献血施設で働くという選択肢も取ることが出来ます。夜勤を行うことが都合上無理だという人や、病院独特の雰囲気で働くことにつかれたという人でも、医療者として働くことが出来るのです。
また、業務も採血に特化したものになるため、資格を取得し、採血に自信があるという人は働きやすいのではないでしょうか。
~看護師の業界用語~(おまけ)
RI(あーるあい)…放射性同位元素のこと
放射性同位元素のことを、英語でradioisotopeということに由来する看護師業界用語。