学会認定・臨床輸血看護師 – 看護師キャリアアップ資格を徹底攻略!

看護師として働いていく中で、看護師免許1つだけでこの先やっていけるのだろうか、と自身のキャリアについて考えることがあると思います。緊急手術などの緊迫した空間で、人の命を左右する輸血を任されたこともあると思います。

そこで、今回は看護師のキャリアアップとして「学会認定・臨床輸血看護師」を紹介したいと思います。学会認定臨床輸血看護師は輸血に関する正しい知識と的確な輸血看護により、輸血の安全性の向上に寄与することが出来る看護師と定められています。

知っていますか?学会認定・臨床輸血看護師までの道のり

では、どのようにして、学会認定・臨床輸血看護師になればよいのでしょうか?

まずは、学会認定・臨床輸血看護師になるまでの流れを整理してみましょう。

①受験資格の確認

学会認定・臨床輸血看護師になるための認定試験は受験資格がしっかりと定められています。

  1. 看護師とする(准看護師ではだめです)
  2. 輸血治療を行っている施設の看護師を対象とする
  3. 看護師免許を取得し、通算3年以上の指定の日にち(毎年異なります)までに通算3年以上の臨床経験を有する。
  4. 受験申請にあたって、所属長(看護部長など)、輸血責任医師、それぞれの推薦書が必要である。
  5. 過去3年間に日本輸血・細胞治療学会、日本輸血学会、日本外科学会、日本産科婦人科学会、日本麻酔科学会、日本看護協会の主催、又は共催した学会、講演会および研修会などへの参加、或いは輸血に関する研究発表(論文、著書を含む)があることが望ましい。

②受験申請の確認

上記の条件を満たしていたら、受験申請書、業績目録などの決まったフォームの用紙を用いて、受験申請を行いましょう。

③受験資格審査及びその結果通知と講習会、筆記試験の案内

受験資格があると認められると自宅に通知が来ます。受験資格がある人には、その後に、講習会と筆記試験の日時の連絡が来ます。

④講習会、筆記試験

講習会を受講し、翌日の筆記試験を受けます。

⑤試験合格者へ指定施設での研修の案内

試験に合格すると、指定施設での研修に関しての日時や注意事項などが通達されます。

⑥指定施設での研修

指定施設で3か月ほどの研修を行うことになります。

⑦合否審査、認定証発送

合否の審査がされ、合格であれば、認定証が自宅に送られてきます。

以上が、学会認定・臨床輸血看護師になるための流れとなります。

一体どれだけの費用や時間がかかるの?試験の内容は?

おおまかな流れは、分かったけど、お金や時間がかかりそうだし、試験は難しそう…と思う方もいると思います。そこで、費用、期間、試験内容についてまとめてみます。

費用は、認定試験の申請料1万円、受験費用1万円、研修費1万円、登録料5千円が必ず必要になりますが、会場が首都圏の1ヶ所になるので交通費などがかかると、およそ15万円から20万円程度必要になると思われます。

次に、かかる期間ですが、毎年6月から受験申請の受付を行っていて、試験や研修などを経て、合格発表がされるのが、その翌年の4~5月になるので、早くても、ちょうど1年程度は必要になると思われます。

試験に関してですが、筆記試験は、毎年11月に1回だけ行われていて、場所は、2016年では、埼玉県の「大宮ソニックシティ」1ヶ所で開催されました。試験範囲は「学会認定・臨床輸血看護師制度カリキュラム」に則った範囲から出されることになっていますが、輸血に関する最新の話題で重要なものも対象にするとされているので、勉強する際には、輸血の時事ネタにも注意して学びましょう。試験の合格率は95%以上と高く、しっかりと学べば、合格できるものとなっています。

学会認定・臨床輸血看護師になったら、気になる給料はどうなるの?

看護師からのキャリアアップとして、学会認定・臨床輸血看護師を紹介してきましたが、普通の看護師の時と比べて給料がどうなるのか気になりませんか?

実は、学会認定・臨床輸血看護師になったからといって、給料が上がったというデータはなく、この資格を手に入れたからと言って、一概に給料アップできるとは言えません。しかし、特別手当を出してくれる病院があったり、この資格とスキルを身に着けることで、重要な仕事を任されるようになって、職場で昇級することが出来れば、給料アップにつながることは十分に考えられます。

この資格のメリットとしては、輸血医療について看護師としてスペシャリストになることが出来るという点だと考えた方が良いでしょう。

看護師の業界用語 解説

アンギオ…血管造影

アンギオとは、看護師の業界用語で血管造影を指します。これは、血管造影を表す英語angiographyに由来しています。ちなみに、血管形成術をangioplasty、血管障害をangiopathyと言います。angio-という接頭語がついたら血管に関わることだなと思うようにしましょう。