看護師がキャリアアップする為の資格を取ろう。 22血管診療技師(CVT)

近年、肥満や、高脂血症、糖尿病といった看護師として働く皆さんなら当然知っている生活習慣病によって、動脈硬化、静脈瘤といった血管障害を生じて死亡してしまう人も増えています。そういった状況が取り巻く現代医療の場において、看護師として何か出来ることはないだろうかと考えている人もいるかと思います。そこで今回は看護師としてのキャリアアップとして「血管診療技師(CVT)」を紹介したいと思います。

血管診療技師は、近年、医療を取り巻く重症血管患者、複雑血管疾患の増加という実情に対して、血管疾患を深く理解し非侵襲的血管検査に習熟した医療従事者としてアプローチすることを求められている仕事です。これからますます必要性が高まっていくとされている医療職のひとつだと言えます。

血管診療技師になるにはどうするの!?

血管診療技師がどのような役割かわかり、少し興味が出ていたのではないでしょうか?それでは、どのような流れで血管診療技師の資格を取得すればよいか整理していきましょう。

  • 受験資格を確認する

受験資格は以下のように決められています。

  1. 臨床検査技師、看護師、臨床工学技師、診療放射線技師、理学療法士、准看護師いずれかの資格を有している。
  2. 臨床検査技師、看護師、臨床工学技師、診療放射線技師、理学療法士であれば3年以上、准看護師であれば5年以上の実務経験を有していること。
  3. 血管疾患を専門とする医師のもとで十分な血管疾患診療の経験があること
  4. 認定講習会を受講したこと
  5. 認定講習会に参加する

上記の1から3の条件を満たしているならば、認定講習会に参加しましょう。認定講習会は、日本血管外科学会総会、日本血管検査法研究会セミナー、日本脈管学会総会に合わせて年3回行われています。

  • 受験申込を行う

受験資格の確認が出来たら、ホームページから受験申込を行いましょう。書類審査が行われ、通過すると、受験票が郵送されてきます。

  • 認定試験を受ける

受け取った受験票を持って認定試験を受けに行きましょう。

  • 登録申請を行う

合否判定を確認し、合格したら登録手続きをホームページから行いましょう。登録手続きが完了すると認定証が送られ、血管診療技師と認められます。

以上が、血管診療技師になるまでの流れとなります。

資格を取るまでにどれだけの費用や時間がかかるの?試験の内容は?

血管診療技師の資格取得までの流れがつかめたところで、実際にどれだけの費用や時間が必要になるのかについて説明していきたいと思います。

まず、費用についてですが、講習会受講料1万円、資格試験受験料1万円、所見用紙コピー確認後返却用レターパックプラス510円、資格認定料1万円の計3万510円が必要となります。また更新手数料は5000円になっています。

次に資格取得に必要な時間ですが、認定試験の申込が5月1日からで、認定試験の結果発表が12月から1月くらいになるので、半年程度の時間が必用になります。

試験の内容ですが、血管疾患の病態に関する基礎知識と血管疾患診療に関する専門知識を問う多肢選択問題を合わせて50問が筆記試験で問われ、血管疾患検査に関する実技技術の実技試験が課されます。試験会場は東京の1か所になっています。毎年開催会場については異なるので、ホームページで確認するようにしましょう。

血管診療技師になるメリットを教えて!

看護師からのキャリアアップとして血管診療技師を紹介してきましたが、では、この資格取得によるメリットを解説していきます。

まず、給料に関してですが、血管診療技師資格を持っている看護師の方が、普通の看護師よりも資格手当などの関係で給料が若干高くなる傾向があるようです。しかし、労働形態や勤務先によって給料に差があるので一概に給料アップするとは言えないということに注意しましょう。

その他、メリットとして、目に見えない血管疾患を適切にケアすることが出来る、知識、技術を身に着けることが出来るということが何よりのメリットであると思います。

高齢化、欧米に伴い、日本では生活習慣病によって血管疾患患者がこれからますます増えていくことが予想されます。そのなかで血管診療技師という資格はさらに需要が高まっていくと考えられ、将来性がある資格です。

全国で、まだ1000人と少し程度しかいない血管診療技師は、看護師として、自分自身のキャリアアップを考えるうえでは、非常に狙い目の資格だと思います。ぜひ検討してみてはいかがでしょうか?

看護師の業界用語 解説

一過性…一時的

一過性とは一時的という意味で、一過性の症状といった場合には、治療をしなくても、放っておけば勝手に症状が消えてしまう場合などに使われる言葉です。