看護師として自身のキャリアを考える上で、看護師免許以外の資格を取得した方が良いのではないかと考える人は多いと思います。給料のアップを図りたいと思っている方、知識や技術の向上を考えている方、様々だと思います。
そこで今回は、看護師のキャリアアップとして「栄養サポートチーム専門療法士(NST専門療法士)」について紹介していきたいと思います。
栄養サポートチーム専門療法士は、日本経腸栄養学会によって認定される資格で、NST専門療法士とも呼ばれます。NSTとは、Nutrition Support Teamの略で、入院患者に対して最良の栄養療法を提供するための医療チームのことを指します。栄養サポートチーム専門療法士は、摂食障害によって経口栄養を行うことが出来ない患者さんに対して、経腸栄養を行う際に、経腸栄養ルートの管理や、経静脈栄養剤の適正使用に関する知識を持ち、治療方針を医師に提言することや、他のチーム医療メンバーへの指導、実践を行う役割が求められる仕事です。
知っていますか?栄養サポートチーム専門療法士までの道のり
栄養サポート専門療法士がどのような資格かについて押さえたので、次は、資格取得に向けて行動する際に何をすれば良いのか、その流れについて整理していきましょう。
- 認定試験受験資格の確認
栄養サポート専門療法士になるには、認定条件を満たし、認定試験に合格しなければなりません。まずは、試験の受験資格を自分が満たしているか確認しましょう。
受験資格は日本経腸栄養学会によって以下のように定められています。
1.管理栄養士、看護師、薬剤師、臨床検査技師、言語聴覚士、作業療法士、歯科衛生士、診療放射線技師の資格を有している者
2.上記の国家資格により5年以上、医療・福祉施設に勤務し、当該施設において栄養サポートに関する業務に従事した経験を有すること。
3.本学会学術集会に1回(10単位)以上、本学会主催の臨床栄養セミナーに1回(10単位)以上参加することを必須とし、この必須単位を30単位以上有すること。
4.学会によって認められた認定教育施設において、合計40時間の実地修練を修了していること。
- 認定試験受験申請
上記の条件を満たしていたら、必要書類をそろえて提出し、受験申請を行いましょう。
- 認定試験
資格認定試験として、筆記試験が課されるので合格を目指して頑張りましょう。
- 合否発表・認定証の交付
認定試験に合格し、認定を希望する場合は認定料を振り込み、認定証を交付してもらいます。この際の注意ですが、認定には日本経腸栄養学会への入会が必要になり、会費を払う必要があります。ここまでの手続きが完了すると、栄養サポートチーム専門療法士として認められます。
以上が、栄養サポートチーム専門療法士資格取得までのおおまかな流れとなります。
試験って難しい?お金や時間はどれくらい必要なの?
資格取得までの流れを整理したので、次は、具体的に必要となる費用や期間、認定試験の内容について触れていきたいと思います。
まず、必要となる費用ですが、認定試験受験料1万円、認定料2万円、年会費1万円を支払うことが必要となります。また、セミナーや認定試験会場までの交通費なども加味すると、5~10万円程度が必要になると考えられます。
次に、どれくらいの期間が必要になるかについてですが、受験申請から認定証交付までの時間は数か月程度必要になります。ただし、看護師になったばかりの状態からこの資格取得を目指す場合、認定条件にある資格での勤務5年以上という条件をクリアするために年数が必要なので注意が必要です。
最後に、認定試験に関してですが、試験は1年に1回、11月に京都府で行われます。試験形式は論述と口頭試験によって行われます。試験の合格率は年によって大きく異なり、20%から70%と難易度がかなり高い年もあり、充分な準備が必要な試験であると言えます。
必見!栄養サポートチーム専門療法士の魅力とは!
それでは最後に、栄養サポートチーム専門療法士のメリットを紹介していきたいと思います。
まず、給料ですが、資格手当が支給されることや、栄養サポートチームにおいての指導的立場になることから、通常の看護師よりは給与のアップが考えられます。
また、前述の摂食嚥下リハビリテーション指導士の資格と合わせるとさらに質のよい、包括的な栄養サポートが行えるようになるというのも自身のキャリアアップにとっての大きな魅力であると言えます。
看護師の業界用語 解説
陰洗…陰部洗浄の略
陰部洗浄は入院中に自力で入浴を行うことが出来ない患者さんに対して行うことが多い手技です。男性と女性でやり方が大きく異なりますし、感染防止のための対策も取らなくてはいけないので、しっかりと確認しておきましょう。