自宅でできる毎日のハンドケア

看護師という職業柄、手洗いや手のアルコール除菌などをする機会が多く、手の肌荒れに悩んでいる人は多いのではないでしょうか。普段忙しくケアをせずに、気づいたら肌がカサカサになってしまう人、エステなんて行く余裕のない人などのために、毎日自宅で簡単にできるハンドケアの方法を紹介していきます。

ハンドケアって必要なの?

看護師は一日の仕事の中で何回も手洗いをする必要があり、またアルコールでの除菌も何度も行ったりしています。アルコールによる消毒は細菌や汚れをなくすだけではなく、同時に手の脂、水分も取ってしまっています。そのために繰り替えしていると自然と手が乾燥状態になってしますのです。肌荒れをしてしまったからと言って手洗いを怠るわけにはいきませんし、逆に手荒れしていると細菌が増殖しやすい状態になってしまいます。それでは清潔に医療行為を行うための手洗いの意味がなくなってしまいます。また、点滴・注射などの医療行為を行うときはもちろん、さらに食事や入浴の介助など患者さんと接する時間が一番長い看護師の手元、指先は自然と見られています。患者さんの中には病気や入院により不安が募っている人もたくさんいるので、そんなときに手元、指先が荒れたりして清潔感がなく見えてしまうと、それだけで不信感や不快感を抱いたりして、信頼を失うかもしれません。細かい部分ではありますが、患者さんに清潔感、安心感を与えるためにも看護師にとってハンドケアは欠かせないものなのです。それではこれから、具体的に何をすればよいか説明していきます。

実際にはどんなハンドケアをすればいいの?

~保湿の手順とは~

ハンドケアと聞くとやはりハンドクリームの印象が強くなりますが、ただ何回も塗っているだけではハンドクリームの効果は薄れてしまいます。まずはハンドケアをする前に手を温めておきましょう。クリームなどをなじませやすくするためです。お風呂上りがおすすめですが、お風呂上りでなくてもぬるま湯に少し手を付けたり、軽くマッサージして血行をよくしておくのでもよいでしょう。手の水気をとるときは、こするのではなくタオルを伸せてトントンと軽くふきとるようにしましょう。そしてケアの準備が整ったらまず、化粧水をつけます。顔に使用する化粧水やローションでも体用でも大丈夫ですがが、たっぷりめにつけてなじませましょう。化粧水やローションが乾いてきたら次にキューティクルオイル(ネイルオイル)を塗ります。これは爪用のオイルですがささくれが気になる人や、指先の乾燥が気になる人にも効果があるのでおすすめです。それが終わったら最後にハンドクリームを塗っていきます。肌になじむようにマッサージをしながら塗るとよいでしょう。化粧水等を塗る前に手を温めましたが、ハンドクリーム自体も手全体に広げる前に、手の甲に伸せてクリーム自体を温めましょう。広がり、なじみがよくなります。乾燥がひどく保湿を徹底したいという人は、ハンドクリームを塗ったあと寝るまえに手袋(ナイトグローブ)を付けてナイトケアもすることができます。通気性が悪いと逆に長時間手袋をつけると逆効果になるので、綿や絹などがおすすめです。最近では専用のナイトグローブもあるので、それを購入するのもよいでしょう。

~ハンドクリームの選び方~

現在たくさんの種類のハンドクリームが薬局などで売られていますが、種類が多すぎて逆に選ぶのが大変という人もいるでしょう。一番分かりやすいものは、症状に合わせて選ぶことです。

ごわごわしたり固くなったりしているのが気になる人には、尿素系のハンドクリームがよいでしょう。ごわごわするのは、皮膚の角質の硬化が原因となっていることが多いので、角質を柔らかくする効果が期待できる尿素系が適しています。尿素系は刺激が強い場合もあるので、皮膚が弱い人は気を付けてください。

次に手の乾燥がとにかく気になる人は保湿成分が多く含まれるものを選びましょう。保湿成分には、ヒアルロン酸、シアバター、植物性の油、植物エキス、グリセリンなどがあります。保湿がメインのハンドクリームは種類が多く、また天然素材のものも多く含まれるので、試しながら自分に適しているのを選びましょう。

最近ではハンドクリームの他にも、皮膚保護クリームというものもあります。ハンドクリームは一日に何回も塗らないと効果が持続しないように感じますが、皮膚保護クリームは皮膚に吸着しやすいよういになっていて、水ですすいでも効果が保たれやすく、少ない回数でも保湿、手荒れ保護の効果を感じることができるようです。

クリームを選ぶときは症状に合わせて、成分表示も気にしながら購入してみてください。

~普段からできる一工夫~

看護師は仕事場で手の皮膚に負担をかけている分、家ではできるだけ負担をかけないように一工夫をしていきましょう。食器洗い、掃除などやらなくてはならない水仕事はたくさんありますが、できるだけ手袋をはめて水や洗剤から手の皮膚を守りましょう。また、どうして素手でやらなくてはいけないときでも、冷たい水よりはぬるま湯のほうが負担が少なくなります。熱過ぎもよくないので、適度な温度にしてください。

また、手は洗いすぎても皮脂や水分が奪われてしまうので、過度には洗わないようにしましょう。

看護師の業界用語

肺炎
細菌などの病原体の感染によって肺に炎症が起き、せき、発熱、悪寒、胸痛、喀痰、呼吸困難など風邪に似ている症状を呈することがある病気。免疫力が低下していると感染する可能性があり、特に高齢者に多い。日本での死亡原因としても比較的多い。