看護師は収入が安定した職業として知られていますが、勤務先によって仕事内容がガラッと変わることをご存知でしょうか。勤める場所によって仕事の特徴が異なるので、場合によっては転職する時に困ることがあります。今回はそれについて解説していきます。
新卒は一般病棟が無難?
これから看護師の就職活動を始めるあなた。あなたはどのように勤務先を選ぶご予定でしょうか?職場の雰囲気?休暇?それとも収入?職場を決めるための決め手はたくさんありますし、どれをとるかも人によって様々です。しかし、新卒は一般病棟に勤めるのが無難なのをご存知ですか。何故一般病棟に勤めるのが良いのかを説明していきます。
一般病棟以外の勤め先の例として、老人ホームがあります。老人ホームというのは、病気を扱う病院とは違い、病気の有無に関わらず高齢者が生活する住居です。そのため、老人ホームでの看護師のお仕事としては、入居者の入浴、食事などの介助、レクリエーションへの参加など、生活に密着した仕事が多くなります。常に患者の状態を専門的な技術を使って確かめる病院とは異なり、高齢者の方により良い生活を送ってもらうことを目指したお仕事が老人ホームでの勤務です。病気を治すのではなく、生活の手助けをするのです。そのため、高齢者の方の生活を支えたい、高齢者の方に喜んでもらいたいという方にとっては、とてもやりがいのある仕事であることは間違いありません。一般病棟と老人ホームには異なった特徴があるので、どちらが良いということはありませんが、あなたにあった方に勤めるのが良いでしょう。
しかし、生活を支えることを目標にしている老人ホームでは、専門的知識を要するお仕事があまりありません。そのため新卒で老人ホームに勤めてしまうと、病院に転職する時に臨床経験がなく非常に苦労することがあります。看護師として10年くらい働いたのに、病院勤務をしたことが無いから、仕事を1から覚え直さないといけない、というのは非常に大変なことです。また、卒業からすぐであれば国家試験で勉強した内容を活かせますが、卒業から10年も経っていたら、国家試験で勉強したことなど忘却の彼方…。もしも将来的に絶対に転職しないと言い切れるなら、新卒で一般病棟以外に勤めても良いかもしれませんが、最初はそう思っていても考えは途中で変わってくるものです。一般病棟で経験を積んでおいた方が将来性を考えると楽な道のりなのです。「病院の雰囲気が嫌いだし、どうしても一般病棟は嫌だ!」という方も、万が一転職したらということを考えて、まずは一般病棟で臨床経験を積むのが無難なのではないのでしょうか。ご自身のキャリアアップにも繋がりますしね!
ギャップがすごい?転職の壁!
ここまでは、新卒が一般病棟に勤める良さについて説明してきました。ここからは逆に、一般病棟に勤めてからその他に勤める時の注意点を紹介していきます。
先ほども申し上げましたように、新卒が一般病棟に勤めることはスキルアップの面からみても非常に大切なことです。しかし、その後一般病棟以外に勤める場合には注意が必要です。何に注意するかというと仕事内容の大きな変化です。一般病棟では何らかの病気を持った方が入院、通院しています。そのため、免疫力が低下した患者さんがたくさんいらっしゃいます。免疫力の弱った方というのは、免疫力がある人では感染しない菌にも容易に感染し、一度感染してしまうと重症化しやすく、場合によっては死に至ることも少なくありません。よって、病院では必ず無菌・滅菌操作がしっかりしており、職員一人一人の清潔への意識が大変高くなっています。誰かが使ったものは多くの場合滅菌操作されますし、病院によっては使い終わったタオルを洗わずに廃棄するという病院もあるようです。ですが、老人ホームの場合はどうでしょう。高齢者の生活の手助けをするという目的ですのでそこまで清潔にする必要はありません。使った容器も洗って再利用するのは当たり前です。そのため、長年病棟勤務をしてきた看護師にとっては、使ったら廃棄していたはずのものを再利用するなどといった行為は考えられないのです。そのような仕事内容のギャップを職員に指摘してしまい、人間関係にも発展し、仕事を辞めてしまうケースも少なくないそうです。つまり、一般病棟で経験を積んできた看護師でも、一般病棟以外に転職する際にはゼロからスタートするつもりで仕事に取り組むように注意しなければいけないことが分かります。そこにさえ注意できれば、きっとあなたも快適な転職ライフを過ごせることでしょう!
看護師専門用語解説
「ミエログラフィー」
ミエログラフィーとは脊髄造影とも呼ばれる、脊髄の病気を調べるための検査方法です。検査方法としては、造影剤を脊髄腔に注入した後にX線を当てることで病巣の位置と程度を調べるというものです。脊柱管内の神経の圧迫の原因を探すために広く用いられている検査です。