ドクターとの距離感がつかめない


職場で近寄りがたい雰囲気を放っていたり、伝達が雑だったり、気難しいドクターだったり。当たり前だけど、十人十色のドクターたち。皆さんの中には、これで頭を抱えている方も多いのではないでしょうか。ドクターとの関係!距離感であったり接し方であったり、とにかく勝手で自由気ままな彼らと、「うまくやっていく」ことはなかなかにハードなタスクですし、ぶつかり合わないよう気を遣うこともあったりします。私も、医療界にかかわる一人ですので、この手の悩みには心当たりもありますし、じっくり考えたいトピックです。

かみ合わないはず!看護師→医師と医師→看護師の認識の違い

ドクターも人間ですし、閉鎖的な環境で生きてきた特殊な人間も多いので、いろんな人がいるものです。看護師やコメディカルに対して乱暴な指示を飛ばす医師も見受けられるとか…。自分がされたり、同僚や後輩が叱られたりするのも腹立たしいですが、職場ですから、彼らと良好な関係を築かなければ、重大なミスにも発展しかねない。管理職の看護師さんにとってはどちらのフォローもしなければならない…板挟みですね。
調べてみると、非常に興味深いデータがありました。なんと看護師の6割以上が受け持ちの患者さんについて医師とよく話し合っていないと考えているにも関わらず、医師の8割近くは看護職とよく話し合っていると考えているという研究結果が出ています。さらに看護師と医師の間のチームワークがよく取れていると考えている看護師は約5割なのに対して医師は8割。…「うまくやれている」という連携の認識にも解離があるようですね。

医師と「うまくやっていく」とはどういうこと?

医師にとって、看護師の皆さんに最も求めていることは、最良のタイミングで必要な情報とサポートをしてくれることです。求めている情報を過不足なく伝え、その段取りと準備を確実に行ってくれたり、医師のミスを防ぐための確認を怠らない看護師さんは大きな心強い存在です。当然、先回りして、予測して対応するためには、常に考えて行動しなくてはなりません。勤務を通して、先輩看護師からそのスキルを学ぶこと、そして疾患の知識やデータの勉強をすることは、看護師の側から医師に働きかけられる一つの要素であるでしょう。
医師のサポートだけではなく、多くの業務を日々抱える看護師の仕事。医師のサポートも過剰に捉えすぎることなく必要なポイントのみを徹底しておけば、それ以上気にする必要はないように思います。
実際、医師とコメディカルとの良好な関係の構築に努めることというのは、医学部の教育でも昔以上に優先的に重視されていて、看護師の後ろについて、看護師の仕事の多様さを学ぶプログラムも見られたりします。若い医師を中心に、コメディカルとの関係の見直しは計られているようです。医師との関係を良くするために、お世辞を言うこともへりくだることも、彼らを立てて一歩引くことも必要ではありません。看護師の皆さんは看護師としてプロフェッショナルな仕事を追及すればいいのです。

医師が看護師の努力を認めない!そんな職場はうんざり!

今の職場でドクターとの距離感に行き詰ってしまってしまう人。一方で「うちの病院の先生はいい人ばかりでやりやすい!」という看護師さんの意見があるのも事実です。いっそのこと、職場を変えて、医師との関係のストレスや文字の解読にも困らない電子カルテの病院に転職してしまうのも解決策です。院長の人柄や病院内情、職場の環境に詳しい転職サイトやコンサルタントで相談してみましょう。

プライベートと職場をきっちり分けられていることが、こういった悩みを抱えない一番の予防策です。職場はあくまで、患者さんが最優先。患者さんを助ける、という共通の目的のもとに、それぞれが役割を果たす場ですので、近い距離感で和気あいあい、緊張感もなくなりがち、といった状況は病院の雰囲気として、適切であるとは言い切れません。皆さんも、いくら自分たちに優しく、配慮の足るドクターであったとしても、患者さんへの診察や対応がおざなりであっては評価しかねるのではないでしょうか。院内や診療科内の親睦会であったり、食事会であったり、そういう時には、仕事でのサポート、被サポートの立場を忘れて、楽しい空間を共有できる、そんな医療従事者の信頼関係を築ける現場で働きたいですね。

看護師の専門用語「メディケア」

米国の医療保険のことで、65歳以上の高齢者や障害者を対象にしている。米国は、国民皆保険制度がひかれておらず、そのため、医療費は基本的には全額自己負担をするか、民間の医療保険に加入するしかありません。しかし、1966年から、対象者に限り、公的な医療保険の制度がつくられ、低所得者を対象としたメディケイドとともに提供されています。