看護師の仕事は、肉体的にも、精神的にもかなりハードで、それが周知されているせいか、ほとんどの病院で人材確保に頭を悩ましている状態です。このような医療現場の慢性的な人不足により、日々、激務の中で働いている看護師さんは妊娠をしても働き続けるほうがいいでしょうか、それとも、妊娠を機に退職したほうがいいのでしょうか。
妊娠しても、出産しても病院は退職しないでください。
ここでいう「退職しないでください」と言っているのは、夫側の意見が正しいと言っているのではありません。ここでは、出産一時金や産休、育休を取得することにより、貰えるお金について、みていきましょう。
突然の妊娠が発覚した場合、病院等のことを考慮して、自主退職する人もおられますが、妊娠しても、出産しても病院は、退職してはいけないということを覚えておいてください。「家庭を優先したいので、今の病院を辞めようかな。」と思っている人も少し踏みとどまって、以下のことをみてから考えてください。
例として、現在の給料が30万円の看護師の場合、勤務先を退職せず、産休、育休を取得すれば、公的機関から以下のようなお金が貰えます。
給与30万円の場合、制度は出産一時金で一律42万円(健康保険組合加入者は10万円増額)、出産手当金 約64万円、育児休業給付金 約240万円、合計 346万円が公的機関から以下のようなお金が貰えます。現在の職場である病院を退職することなく、産休、育休を取得することにより、勤務先(病院)以外の公的機関からお金を貰うことができます。また、このお金は非課税になるのです。
もし、退職したら、出産一時金が貰えなくなるかもしれません。子供を出産すると、原則として、子供1人につき42万円の出産一時金を貰えます。「健康保険」に加入していることが、出産一時金の条件になります(健康保険組合に入っている場合、10万円加算されます)。基本的に、病院勤務している看護師は職員ですので、健康保険の加入が義務付けられます(小さな個人病院は、確認をとってください)。そのため、退職をすることにより、健康保険に加入していないので、出産一時金を貰うことができなくなるのです。もし、先に退職してしまった場合、夫(ご主人)の扶養に入れば、健康保険の加入者となります。ですので、出産一時金を受ける場合は、ご主人の扶養に入ってください。
産休を取得して、国からお金が貰えるのです。ほとんど病院が、産休や育休を認めてくれます。病院側から、育休や産休の際、給与を支給する病院は、非常に待遇が良い病院といえますが、まず、給与を支給する病院はないでしょう。ただ、育休や産休を取得しておくことで、「出産手当金」が健康保険から支給されるのです。つまり、病院側からの給与は貰えませんが、その病院で育休や産休を取得しておかないと、健康保険からの支給はないのです。金額は、平均、給与の3分の2の金額が貰うことができるので、退職しないほうが良いでしょう。給与30万円の場合 30日計算により1日約6,600円の「出産手当金」が貰え、産休期間は98日ですので、総額は98日×6,600円で約646,800円の「出産手当金」が貰うことができます。これは、先程説明した「出産一時金」とは別です。
育休も取得すると、国からお金を貰うことができます。産休に引き続いて、育休も同様です。雇用保険制度より「育児休業給付金」を貰うことができるのです。この場合180日までは賃金の67%、その後は50%となり、この計算で、子供が1歳になるまでは「出産手当金」の計算方法で貰うことができるため、給与が30万円だった場合、最大約240万円にもなってくるのです。
妊娠中の働き方に注意しましょう。
退職するにせよ、しないにせよ、妊娠がわかりましたら、速やかに上司に報告するようにしましょう。報告が遅れれば遅れるほど、現場に夜勤勤務ができない等の迷惑がかかり、あなた自身も、無理して夜勤勤務をしようと無茶をするかもしれませんので、早めの報告が望まれます。
また、妊娠中の看護師の働き方における条件として、一番に、赤ちゃんのことを考えて、職場や周囲の方々の理解を求めることです。
まとめ
ここまで、退職か働き続けるかについて考えてきましたが、出産費用と一時金等については退職しないほうが良いことがわかりました。ただ、赤ちゃんのことを大切に思ってもらえない勤務先でしたら、退職したほうが良い場合もあるのです。やはり、赤ちゃんのことを一番に考え、行動するのが母親への第一歩になりますので、ご主人とよく話し合って考えていただきたいものです。
看護師専門用語
ムンプス
流行性耳下腺炎のことで、分かりやすく言えば、おたふく風邪のことです。この病気は、2~3週間の潜伏期を経て発症し、片側あるいは両側の唾液腺の腫脹を特徴とするウイルス感染症であり、通常1~2 週間で軽快します。最も多い合併症は髄膜炎で、その他髄膜脳炎、睾丸炎、卵巣炎、難聴、膵炎等を患う場合があります。