看護師として働いていると周りの人に優しいや包容力があるという良いイメージを持たれることが多いのではないでしょうか。しかしながら、その世間のイメージが逆にプレッシャーとなることもありますよね。今回はそんなプレッシャーの中の一つ、介護についてお話していきたいと思います。
看護師は介護が楽なの?
看護師として日々患者さんの体をふいたり、トイレ介助や体位交換をしていたりするので、看護師にとって介護は楽だと思われがちです。実際に、看護師という理由だけで家族の介護を押し付けられたり、逆に、看護師なのにそんなこともできないのかと罵られたりした経験のある方は少なくないようです。また、今現在それを経験しており、悩んでいる方もいるのではないでしょうか。しかしながら、看護師が介護をするということは楽ではありません。まず、ここでは看護師が家族等の介護をすることの大変さについてお話していきたいと思います。
まずは看護師という仕事の激務さが原因です。看護師は3交代制と言っても、申し送り後に自分の残っている仕事を片付けたり、勉強会に参加したりと、時間内の労働はもちろん、時間外の労働も激務で忙しい仕事です。そのため、家に帰ったら一目散にベッドに行きたいという方も多いのではないでしょうか。多くの人はその願いが叶わず、帰ってからも家事に育児にと大忙しですよね。そんな看護師が日々の仕事の他にさらに介護を求められたら…倒れてしまいそうになりますよね。もちろん、介護行為自体は一般の未経験の方よりも楽に上手にできるのかもしれません。しかしながら、日々の仕事でいろいろな体重や身長の患者さんを相手に介護行為を行っており、腰や腕に疲労が溜まっている状態にも関わらず、家に帰っても休むことができず、腰や腕に負担をかけ続けてしまっては体を壊しかねません。
次に介護する相手が患者さんではなく家族であるということです。看護師は誰かを贔屓することなく、誰に対しても平等に接しなければなりません。しかしながら、家族を介護するというのは特別なものです。ずっとみていてあげたいものですし、どんなワガママでも叶えてあげたいものです。しかし逆に、家族の要望が強すぎると、家族なんだからワガママ言ってないで我慢してと思ってしまうものです。このように家族の介護とは患者さんに対するものとは違う感情がわき、無理しすぎてしまったり、逆に看護行為がストレスになってしまったりして普段の看護師としての働きとは全く別のものになってしまいがちです。それにより、看護師側が倒れてしまうこともあります。
家族への介護のコツ
今までお話してきたように看護師が家族に対して行う介護は精神的にも肉体的にもとても大きなストレスとなってしまいます。介護行為自体は普段し慣れているので大きな苦労はないと思いますが、家族を介護するということはとても大変なことです。そこで、家族への介護のコツについてお話していきたいと思います。
まずは一人で抱え込まないことです。看護師なんだからと一人に押し付けられがちですが、少しでも皆に協力してもらうようにしましょう。一人で家で介護する場合、看護師の仕事のように時間で交代ということができなくなってしまいます。トイレに行きたいと言えば寝ていても起きなければなりません。それを普段の看護師としての仕事の他に行うのは無理があります。決して一人で頑張りすぎずに、できないことはサポートするからと伝え、家族や親戚皆で介護するようにしましょう。
次に両立できるかどうか考える必要があります。家族の介護のために職場を離れた看護師を見た方もいるかもしれませんが、やはりそうなると今後の生活が不安になりますよね。今の職場で働き続けるのか、転職して自由がきく職場や自宅から近い職場に勤めるのか、それとも辞めるのか、一度考える必要があります。この時、家族がサポートしてくれるのかについても大事ですが、一番はあなたの体や心がこのままで大丈夫なのかが大切です。無理がたたって倒れてしまわないか、ストレスから患者さんや家族にあたってしまわないか、仕事中に集中できるかについてしっかり考えましょう。あなたが無理をせずに介護することが、患者さんや家族のためになることを忘れないでください。
最後に家族が介護が必要になった時についてあらかじめ考えておく必要があります。仕事はどうするのか、家族だけでみるのか、老人ホームなどの施設を利用するのかなどについて話し合っておくとよいでしょう。自分には関係ないと思ってしまいがちですが、両親や祖父母は意外と年をとっています。週に一回は電話するなど、家族の様子を普段から確かめるように心がけると共にもしもの時について一度話し合ってみてはいかがでしょうか。
家族の介護は普段の看護行為とは違う特別なものです。決して一人で頑張らずに、周りのサポートを得ながら自分にとって一番良い方法を探してみてください。それが家族や患者さんのために一番良い選択となります。
看護師専門用語
ポケット
皮膚欠損部より広い創腔(嚢)のことをポケットと言います。