看護師として働く中で、生命の誕生の瞬間に立ち会える助産師の仕事に興味を持ったり、看護資格だけでは心許ないので、同時に助産師の資格も取ってしまおうと考えている看護学生の方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は看護師のキャリアアップとして、「助産師」のなり方や給料などについてお話していきたいと思います。
目次
知っていますか?助産師までの道のり
興味はあるけれども、助産師になるためには、具体的に何をすればいいのだろう…そのような疑問を解決するために、まずは助産師になるまでの流れを整理していきましょう。
助産師になるには、以下の条件を満たす必要があります。
- 看護師資格を有する
- 助産師養成学校で1年以上修学し、助産師国家試験の受験資格を有すること
- 助産師国家試験に合格すること
上記の3つをクリアすると助産師としての資格を手に入れることが出来ます。これを満たすためには、大きくわけて2つの方法があります。
大学卒業後に国家試験
ひとつは、看護養成課程の中に、助産師養成課程を設けている4年生大学で学び、卒業後に、看護師国家試験と、助産師国家試験を同時に合格するという方法です。
助産師になることを初めから決めている学生の方は、この方法の方が手っ取り早く取り組みやすいかもしれません。
実務or短大卒業後に助産師養成学校に入学
もう一つは、看護師として実務経験をつんでから、あるいは、看護系の短大を卒業後に助産師養成学校に入学して1年間の修学をする。
または、助産師養成課程をもつ4年制大学に編入して、助産師国家試験の受験資格を得るという方法です。すでに看護師として働いている方は、こちらの方法で助産師を目指すことになります。
お金や時間はどれくらいかかる?試験は難しい?
助産師を目指すにあたって、修学に必要な費用や時間、国家試験の難易度などは気になるところだと思います。
必要な費用
まずは、費用から見ていきたいと思います。
助産師になるには、助産師養成学校に通う必要があります。この場合は、入学検定料3万円、入学金30万円、授業料年間70万円、実習費20万円、設備費用20万円、教科書代10万円程度必要であると思われるので、概算して150万円ほど必要になると考えられます。
4年制大学で助産師を目指す場合、4年間の学費の総額は国公立の大学では、入学金30万円、年間の授業料が55万円程度なので、約250万円程必要であると考えられます。
国家試験について
次に、国家試験についてですが、試験は毎年2月に、年に1回、看護師国家試験、保健師国家試験と日にちをずらして、ほぼ同じタイミングで行われます。
会場は北海道、青森、宮城、東京、愛知、石川、大阪、広島、香川、福岡、沖縄と全国的に行われます。試験内容ですが、試験時間は、午前の部75分、午後の部80分で行われます。
試験内容は基礎助産学、助産診断・技術学、地域母子保健及び助産管理から出題される選択問題となります。
国家試験の難易度は?
国家試験の難易度についてですが、例年90%後半の合格率となっていて、不合格者を出すための難しい試験ではないと言えます。
また、合格者の割合から見ると、平成27年では、合格者2008人の内、新卒者が2000人、既卒者は8人となっています。
さらに合格率でいうと、新卒者では99.8%であるのに対し、既卒者では88.9%であり、看護師として働きながらの勉強などはやはり難しく、しっかりと勉強する時間をとって国家試験の対策をしている新卒者の方が有利であることが窺えます。
助産師になるメリットってあるの?
看護師からのキャリアアップとして助産師になるうえで、重要となってくるのは、看護師と比べた時のメリットであると思います。それでは、気になる年収から考えていきましょう。
助産師の平均年収
助産師の平均年収は560万円程度だと言われていますが、これは、40代看護師の平均年収が520万円ほどだということから考えると、看護師よりは数十万円高くなるということが言えます。
給料以外のメリット
また、産科などの周産期医療の現場であると、看護師に比べて助産師が優遇されたり、異動がないなどのメリットが挙げられます。
なによりも助産師をやりたいという人は、赤ちゃんの誕生の瞬間に立ち会いたいという思いを持っている人が多いと思います。なので、自分自身の仕事のやりがいという面では、助産師は看護師よりも充足感があると言えます。
さらに、助産師は、自らで助産院を立ち上げて、助産行為を行うことが出来ます。産婦人科医がいないために、周産期の医療行為を施すことが出来ませんが、その代わりに、妊婦さん一人一人としっかりと向き合えるアットホームな職場を自ら作ることも可能となります。
助産師の資格を持っていると婦人科看護師で働く事にメリットがあります!是非こちらもチェックしてみてください。
~看護師の業界用語 解説~
アテレク
アテレクとは、肺の一部に空気が入らないために、いわゆる無気肺となってしまっている状態のことです。無気肺を意味する英語atelectasis(アテレクタシス)に由来しています。