看護師免許だけでは、資格として物足りない。自分がしたい医療はこれではないと、思い悩んでいる看護師の方も少なくはないと思います。
その中でも特に、精神科の患者さんを対象に仕事がしたい!と考えている看護師のキャリアアップとして今回紹介したいのが「精神保健福祉士」です。精神保健福祉士は、いわゆる、精神科ソーシャルワーカーと呼ばれる職業の人たちで、Psychiatric Social WorkerからPSWという略称で呼ばれます。
目次
精神保健福祉士の仕事内容
精神障害を抱える患者およびその家族、メンタルヘルスの課題を抱える人に対して、相談を行い、入院から退院までの心のケアを行ったり、精神保健センターで市民のメンタルヘルス問題の啓蒙活動を行っています。
どうやって精神保健福祉士になるの?
では、精神保健福祉士の資格を取得するまでには、具体的にどのようなことをすればよいのかを知るために、資格取得までの流れを整理していきましょう。
精神保健福祉士国家試験の受験資格を持つ
精神保健福祉士国家試験の受験資格は、以下の通りに決められています。
- 4年制大学で指定科目を修めて卒業したもの
- 2年制(又は3年制)短期大学等で指定科目を修めて卒業し、指定施設において2年以上(又は1年以上)相談業務に従事したもの
- 精神保健福祉士短期養成施設(6ヵ月以上)を卒業(終了)した者
- 精神保健福祉士一般養成施設(1年以上)の卒業(終了)した者
精神保健福祉士の国家試験に合格する
上記の受験資格のいずれかを満たしていたら、国家試験を受けて合格しましょう。
精神保健福祉士資格の取得、登録
合格したら、資格を取得することが出来、晴れて精神保健福祉士として働くことが出来ます。
精神保健福祉士になりたい!でもかかる費用や時間が気になる…
精神保健福祉士になる流れはつかんだ!けどなるためにはお金も時間も必要だろうし、試験も難しいのでは…。と考えている方もいるはずです。
そこでまずは必要な費用を見てみましょう。
必要な費用
受験条件を満たすために所定の教育課程を受けなくてはなりませんが、この時、保健福祉系の教育カリキュラムを持つ大学に編入して2年間学ぶとなると、通信コースであれば数十万円必要となります。
一方で、通学コースに通うとなると100万円を超える場合も多く、一般的には通信コースを選択した方が学費は安く済みます。
必要な時間
精神保健福祉士のなるにはどれぐらいの時間が必要になるのでしょうか。
大学や短期大学から指定施設に通った方では4年間、短期養成施設や一般養成施設に通った方は6ヵ月あるいは、1年間の学習が必要ですので、ちょうど国家試験があれば最短で、6ヵ月程度で資格を取ることも可能になっています
精神保健福祉士国家試験
次に、資格試験はどうなっているかについてですが、精神保健福祉士国家試験は、毎年1月下旬に1回だけ行われます。
場所は、北海道、宮城、東京、愛知、大阪、広島県、福岡県と各地方の中心都市で全国的に行われており、試験の合格率は毎年60%前後となっています。
問題は、精神医療に関する16科目から出題される選択問題で、1問1点の163点満点となっています。
合格基準は、問題の総得点の60%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数以上の者、と定められているので、110点くらいをとれば、十分に合格できると思います。
精神保健福祉士になるメリット
看護師からのキャリアアップとして精神保健福祉士になるにあたって、看護師でいることよりもメリットがなければ、資格を取るべきかどうか考えものですよね。そこで精神保健福祉士のメリットを考えてみましょう。
精神保健福祉士の年収
まず、気になる収入に関してですが、精神保健福祉士全体の平均年収は250万円から400万円と、看護師の平均年収である520万円に比べれば大きく差があります。
しかし、社会の複雑化に伴い精神疾患を抱える患者さんも増えているために、現在では必要性が高まっている仕事であり、将来性がある仕事です。
さらに、専門性が高いために、精神疾患施設などでの管理職を任されて、500万円以上の年収を稼いでいる人もいるので、働き方次第では、高収入も見込めます。
自分を強く必要としている職場にいかに自分をアピールできるかが高収入のポイントでしょう。
お金以外のメリットもある!
その他に、なによりのメリットとして考えられるのは、精神患者を相手に仕事が出来るということだと思います。
精神保健福祉士となることを考えている人は、精神医療の分野で仕事をしたいと強く考えている人が多いです。自分がやりたい仕事を出来るということはお金に替えられない価値があるのではないでしょうか。
~看護師の業界用語~(おまけ)
アドミッション…入院
看護師業界では、入院することをアドミッションといいます。これは入院を意味する英語admissionに由来しています。
また、退院することはエントといいます。これは退院を表すドイツ語のentlassenからきた略語です。