看護師として働いている最中に、救急車で運ばれてくる患者を目の当たりにし、救急医療に関して、興味を抱く看護師の方もいるのではないでしょうか。
一刻を争う重篤患者に対して、看護師として出来ること以外にも、もっとしてあげられることはないだろうか…。そのように考える看護師の方に、今回は自身のキャリアアップとして、「救急救命士」について紹介したいと思います。
目次
救急救命士とは?
救急救命士は、事故などによって救急車の出動要請がかかった時に、救急車に同乗し、医師の指示を受けながら、救命措置を行うことが仕事です。ですので、ほとんどの場合、病院ではなく全国の消防署で働くことになります。
どういう流れで救急救命士に?全て解説!
では、救急救命士になるにはどうしたらよいのでしょうか、資格取得までの流れを整理してみましょう。
高卒から目指す場合
ひとつの流れは、高校卒業後に、文部科学大臣指定の学校、厚生労働大臣指定の救急救命士養成所(2年以上)に通う必要があります。
救急救命士養成所で専門教育を受けた後で、救急救命士国家試験を受けます。合格することが出来たら、今度は各地方自治体の消防士採用試験を受けて合格する必要があります。消防士採用試験に合格することが出来なければ消防署で働くことが出来ないからです。
その2つの試験を合格することが出来れば、救急救命士として働くことが出来ます。
大学卒業もしくは消防士から目指す場合
もうひとつは、一般の大学に通っていたり、消防士から目指す場合ですが、まず、自分が働きたい地方自治体の消防士採用試験を受験し、合格します。
その後、消防士として、救急隊員として実務経験を200時間以上経験します。
次に、救急救命士養成学校に6ヵ月以上通います。そして救急救命士国家試験を受験して合格することが出来たら、自分が働いている消防署でそのまま救急救命士として、救急隊員をすることが出来ます。
費用や時間はどれくらいかかる?気になる試験の情報は?
救急救命士になる流れをつかんだけれど、実際にかかる費用や時間が気になるところですよね。
救急救命士になるのに必要な費用
救急救命士になるために必要な費用ですが、専門学校でも大学でも、私立の大学がほとんどですので、学費は年間130万円程度かかります。
さらに国家試験の受験料3万円などの諸経費も掛かりますので、130万円×通学年数+10万円程度の費用が掛かります。
資格取得までの時間
次に、資格取得までにかかる時間ですが、通学年数が短期大学でも2年間かかりますし、越えなければならない試験が2つあるので、それぞれの日程が異なることを考えると、最短でも3年近く必要になります。
国家試験の詳細
次に試験ですが、救急救命士の国家試験は毎年3月に、北海道、東京、愛知、大阪、福岡と全国5ヵ所で行われます。
試験内容ですが、科目は基礎医学、臨床救急医学総論、臨床救急医学各論3科目の計5科目から出題されます。
必修問題が55点満点、通常問題が220点満点で出題され、合格基準は、必修問題が44点以上、通常問題が132点以上とされています。
救急救命士国家試験の合格率は85%前後と高く、しっかりと学べば、それほど高い壁というわけではないと思います。
消防士採用試験の詳細
さらに、消防士採用試験ですが、各地方自治体ごとに、試験が行われてます。試験内容は筆記試験と体力試験の2つが課されます。
筆記試験
筆記試験の内容は、公務員試験に比べると難易度が低いと言われます。しかし、消防士試験の倍率は非常に高いので、しっかりと対策をすることが必要でしょう。
体力試験
体力試験は、文部科学省が発表指定いる「新体力テスト実施要綱」を基準にしていて、握力、腹筋、シャトルラン、反復横跳びなどが課されます。
さらに健康診断や身体測定なども体力試験には含まれていて、身長制限や体重制限などもあるため、採用試験前に確認しておくことが必要です。
合格率ですが、東京消防庁では、採用倍率がⅠ類が6~10倍、Ⅱ類が11倍となっています。採用人数の多い東京消防庁でこの倍率ですので、地方によってはさらに倍率が高くなることが考えられます。
看護師から救急救命士へ…、給料は上がる?下がる?
救急救命士は、行う業務は医療ですが、消防署で働くということは公務員扱いとなるので、転職という方が近いかもしれません。では救急救命士に転職すると年収はどう変化するのでしょうか。
救急救命士の平均年収
救急救命士の平均年収は720万円ほどで、看護師の520万円に比べると大きく差があります。
やはり消防職員は地方公務員扱いですので、勤務年数に応じて金額は上がっていきますし、50~54歳では、平均年収は861万円にもなります。
体が求められる仕事ではありますが、年収ややりがいを考慮すると、救急救命士への転職は魅力的かもしれません。
~看護師の業界用語~(おまけ)
アニソコ…瞳孔不動(左右の瞳の大きさが異なる)
アニソコは、瞳孔不動を意味する英語anisocoriaに由来し、アニソコリー、アニソコリアとも呼ばれます。