看護師として、キャリアを積んでいく中で、特に呼吸器の分野において、いまの自分が出来る看護だけでは物足りないと感じることがあるかもしれません。
そこで今回は、看護師としてのキャリアアップとして「3学会合同呼吸療法認定士」を紹介したいと思います。
目次
3学会合同呼吸療法認定士とは?
3学会合同呼吸療法認定士がどういう資格かというと、特定非営利活動法人日本胸部外科学会、一般財団法人日本呼吸器学会、公共社団法人日本麻酔化科学会の3つの学会から認定を受けた、熟練した呼吸管理を行うことが出来る医療者に与えられる資格です。
看護師のほかにも、臨床工学士、理学療法士、作業療法士にもこの資格を持つことが可能です。
医師が要求していることに対しての理解度の向上や、呼吸器疾患患者のバイタルの変化に対しての冷静な対処などのスキルアップをすることが出来る資格になります。
どうすれば3学会合同呼吸療法認定士になれるの?
3学会合同呼吸療法認定士がどのような資格かをつかんだところで、資格取得の流れはどのようなものなのか、整理していきましょう。
まず、前提として3学会合同呼吸療法認定士になることが出来るのは、臨床工学技士、看護師、准看護士、理学療法士、作業療法士です。
それらの職業の人たちは年に1回の認定講習会を受講した後で、認定試験を受けなければなりません。その試験に合格することで、3学会合同呼吸療法認定士として認められます。
お金も時間もかかりそう…試験は難しいの?
3学会合同呼吸療法認定士になる流れはわかったけど、時間もお金もかかりそうだし、試験は難しくて、自分は合格できないのではないかと思っている方も多いと思います。
そこで、資格取得までにかかる費用や期間、試験内容などについてまとめていきましょう。
必要な費用
3学会合同呼吸療法認定士の認定講習会の受講料が2万円、認定試験の受験料が1万円になるので、すでに上記の医療職に就いている方は、計3万円ほどでなることが出来ます。
ただし、2017年は会場が東京の品川プリンスホテルの1ヶ所であったりと、交通費や宿泊費などはその都度必要になると思われます。
資格取得に必要な時間 – 実務経験が必要
資格取得までに必要となる時間ですが、受験資格として、臨床工学技士2年以上、看護師は2年以上、准看護師は3年以上、理学療法士は2年以上、作業療法士は2年以上の実務経験があることが必要となります。
さらに、受講の申し込みが3月末から始まり、講習会自体は8月末に行われて、認定試験は11月の中旬から下旬にかけて行われます。合格発表もそこから数か月かかることを考えると、資格を取るには早くても3年から4年近く必要になります。
資格試験について
試験内容に関してですが、場所は、講習会同様に東京都内の1ヶ所で行われます。
認定講習会を受けるための資格として、上記の職業であって、必要な経験年数を積んでいることと、加えて、過去5年以内に認定委員会が認める学会で12.5点以上の点数を取っていることが必要です。
この点数は、講習会を半日受講すれば12.5点獲得、1日受講すれば25点獲得、講師として講義した場合には30点獲得などが決められています。
この取得点数は、資格取得後の更新時にも必要になるものです。そして受講資格を得て、認定講習会を受けることが、認定試験の受験資格となります。
また、試験の際には本人確認書類が必要なので、運転免許証、パスポート、社員証または学生証、写真付き住民基本台帳カード、個人番号カードのいずれかを持参するようにしましょう。
試験の合格率は毎年60%前後でとそう難しい試験ではないようです。
普通の看護師に比べてどこがいいの?
看護師として、呼吸管理のプロフェッショナルとして認められる3学会合同呼吸療法認定士ですが、資格を取得することによってどんなメリットがあるのでしょうか。
3学会合同呼吸療法認定士の手当
実は給料に関しては、資格取得をするだけでは、あまり変化がありません。あくまで資格を持っているだけで看護師という職業の枠を超えないからです。
しかし、特別手当がついたり、昇進することなどもあり得るので、給料アップの可能性がないとは言い切れません。
3学会合同呼吸療法認定士のメリット
給料が上がる可能性があるほかには、やはり呼吸療法において、ほかの看護師よりも一歩リードした仕事が出来るということです。
自分の仕事に対してのやりがいや充足感は働く上で大切なポイントだと思います。また、医師との連携向上、後輩に自信をもって教えられるようになる、などによってコミュニケーションがとりやすくなると仕事がしやすくなると思います。
~看護師の業界用語~(おまけ)
アヘン…麻薬の一種で、鎮痛剤、鎮咳剤、催眠剤に用いられる。
ちなみに、アヘンチンキとは麻薬のことで鎮痛剤、鎮咳剤、下痢止めに用いられる。