パワハラの判断に困る

看護師の上下関係が厳しい。上司からの言葉がきつくて、仕事をするのがつらい。部下に対する自分の言葉が、きつすぎないか気になる。こういった、パワハラに関する悩みを持ってはいませんか?看護師の仕事は、患者さんの命の責任を背負っているがゆえにパワハラと教育の境界線が不明瞭で難しいと思います。度が過ぎれば単なるいじめとなってしまうし、かといって優しすぎると命に関わる業務をしているという意識が薄れて心持ちが緩くなり、業務に支障をきたし得る。一体どこからがパワハラやいじめとなり、どこまでが通常の関係性といえるのでしょうか。

パワハラってなに?どこからがパワハラなの?

まずパワハラの定義について確認します。職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働くものに対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景にして、業務上の適性範囲を超えた精神的または身体的苦痛を与える、または職場環境を悪化させる行為のことです。先ほど出てきた職場での優位性とは、上司・部下の関係のことですが、この優位性を利用したパワーハラスメントは必ずしも上司から部下に対して行われるものだけではありません。近年急増しているのは、部下や同僚間、さらには部下から上司に対する行為です。ここで利用される優位性には、人間関係、経験値、専門知識などさまざまな優位性を含みます。

パワーハラスメントの主な種類について紹介します。

  • 身体的な攻撃:物をなげつけたり、直接叩いたり、殴る蹴るの暴行を加えることを指します。
  • 精神的な攻撃:必要以上に叱責したり、同僚などの前で叱責することで辱めを与えたり、メンタル面で辛いことをさせることを指します。
  • 過大な要求:例えば新人に対してろくにやり方も教えていないのに膨大な量の業務を残して帰ってしまったり、年齢的に厳しい内容の仕事を上司に頼んだりすることを指します。
  • 過小な要求:持っている資格を活用できない誰でもできるような仕事だけを与えるなど、小さなことだけを要求しやりがいのなさを感じさせてしまうようなことを指します。
  • プライバシーの侵害:男女の交際関係について首を突っ込んできたり、家族や友人について執拗に問われたり、それらの人について悪口を言って不快感を与えることを指します。

上記以外のことがパワーハラスメントではないというわけではありませんが、概ね上記に分類することができます。あなたの周りにもいませんか?

パワーハラスメントの当時者にならないためにはどうすればいい?

パワーハラスメントとただの指導・教育との境界線はあいまいでとても難しいものです。何が業務の適正な範囲を超えているかいないかについて、職場で認識をそろえて範囲について明確にしておくことが重要です。ハラスメントを受けると、人格を傷つけられ、仕事へのい意欲や自信喪失につながります。特に身体的なハラスメントについてはトラウマになる場合が多いです。ハラスメントが発生する職場の共通点として、残業が多い・休みが取れない・上司と部下のコミュニケーションがとれていない・失敗への許容度が低い、などといった傾向があります。したがってまずこれらのポイントを改善することがパワーハラスメントを改善する第一歩であるのは間違いありません。残業や休みが取れないこと、また失敗は患者さんの命に関わる問題なのでそういった点については改善することは職業柄厳しい問題ではありますが、上司と部下の人間関係については徐々にコミュニケーションをとる機会を増やしていくことによって改善していくことができるのではないでしょうか。

また、上位の立場にいるものがハラスメントについての問題についてしっかりと向き合い、組織としてパワーハラスメントが起こらないような環境づくりをすることが大切です。向き合うために、現在の職場の実態について把握しなければなりません。職場に対してアンケートを取ったり、話をきいたりして早い段階で把握し、改善策(予防策であればさらに理想的です)を考えていくことも必要です。

対策を実際にとっている実例として、相談窓口を外部の社労士に委託して、連絡先はハラスメント防止規定に掲載し、それぞれの部署に配布して周知させているという例もあります。このように積極的に策に取り組み、明るい職場作りをしていきましょう。

看護師の業界用語

<グル音>

ぐるおん。腸の蠕動運動に伴ってでるごろごろという音のことを指します。腸管内の内容物とガスが移動して発生します。腸雑音、腸蠕動音とも言います。腸が消化のために運動して発生する音のため、グル音が聞こえること自体は異常ではありません。グル音が亢進・増強しているときに異常として参考にします。Gul音と表記します。